2011年08月

これまでの3部門5科目の合格経験に基づき、貴方の技術士二次試験受験について徹底的にサポートさせていただきます。
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今後の建設業の持続的な発展にための方策が社会資本整備審議会に諮問されました
諮問
 経済社会の大きな変化によりかつてない厳しい状況に直面している建設産業が、活力を回復し、国民経済や地域社会に不可欠な役割を果たすとともに、持続的に発展していくための方策はいかにあるべきか。
諮問理由
 建設産業は、国民生活や経済活動の基盤である住宅・社会資本の整備を通じ、我が国経済社会の発展に貢献する使命を担っている。特に、地域においては、経済・雇用を支えるとともに災害対応等において極めて重要な役割を果たしている。
 しかしながら、建設投資の急激かつ大幅な減少等により、現在、我が国の建設産業は過剰供給構造にあり、競争の激化等によりかつてない厳しい状況に直面している。
 地域においては、地域社会を支えてきた建設企業が疲弊し、これまで担ってきた災害対応等の機能の維持が困難となり、災害対応空白地帯が発生する等の問題が指摘されている。また、労働環境の悪化等により、若年者の入職が減少し、建設生産を支える技能・技術の承継が困難となっている。
 一方、成長市場として有望な海外市場等においても、受注や事業遂行が必ずしも円滑に行われておらず、我が国建設企業の高い技術力を活かしきれていない。
 さらに、建設市場については、民間市場も含め、今後は、少子高齢化や環境意識の高まり、PPP/PFI等による事業の必要性、維持管理・リフォーム工事等の比重の増加など、様々な変化が指摘されている。
 こうした状況を踏まえ、建設産業が直面する課題と関係者が取り組むべき具体的な対策について、平成23年6月、有識者からなる建設産業戦略会議が提言「建設産業の再生と発展のための方策2011」を取りまとめたところである。
 今後、「方策2011」の具体化を始め、このような経済社会の大きな変化によりかつてない厳しい状況に直面している建設産業が、活力を回復し、国民経済や地域社会に不可欠な役割を果たすとともに、持続的に発展していくための方策はいかにあるべきか、検討する必要がある。
 これが、今回の諮問を行う理由である。

今後社会資本整備審議会で検討が行われ、提言としてとりまとめられることになります。
去年も国際展開がネタにされ、今年は大々的に建設産業再生が出題されましたが、来年度もその後も目が離せない建設一般ネタです。
今後も注目しておきましょう。
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タグ : 技術士 建設一般 上下水道一般

お盆休みもそろそろ終わりです。皆様十分リフレッシュできましたでしょうか?。
さて、とりあえず8月7日の筆記試験で、全ての解答を提出できた人であれば、そろそろ技術的体験論文の作成に取りかかることをお勧めいたします。
今日は、私が考える技術的体験論文作成のポイント等について述べたいと思います。
■課題(総合技術監理部門以外の技術部門共通)
今年(というか毎年同じなんですが・・・)の技術的体験論文の課題については、日本技術士会からすでに発表されております。
あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について、実際に行った業務のうち、受験した技術部門の技術士にふさわしいと思われるものを2例挙げ、それぞれについてその概要を記述せよ。さらに、そのうちから1例を選び、以下の事項について記述せよ。
(1)あなたの立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)あなたが行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
以上の課題に基づき、章立てごとに書き方やポイントについて示します。
■技術士にふさわしいと思う業務2例
賢明な受験生であれば、もちろん受験申込書作成の段階で、どの業務について書くかはすでに決定しているはずです。
このうち、詳述する業務をA業務、概要だけ記述する業務をB業務とします。
まずボリュームですが、AとB合わせて10行~15行程度が目安です。
●タイトル
業務名称(タイトル)ですが、経歴書記載時と同様に役所的な事業名や業務名等は極力避け、何を検討、何に苦心した業務か」がわかるような物とすべきです。
さらに、タイトルですのでやはり可能な限り1行に収まった方が見栄えもよいと考えます。このため36~38文字(様式は40文字ですが残りは「1.、2.」「業務1:、業務2:」等表題番号に使用)以内に収めましょう。
タイトル名の悪い例良い例をいくつか下に挙げておきます。
悪い例:平成19年度○○市都市計画事業線引変更見直し調査・検討業務委託
良い例:政策横断的な土地利用計画の大幅見直しを考慮した線引見直し検討
悪い例:△△市公共下水道事業・第6次事業認可変更図書作成業務
良い例:人口フレームの大幅見直しを考慮した公共下水道事業認可設計(△△市)
悪い例:平成20年度通常砂防工事基礎調査委託(その3)(砂防指定地××沢)
良い例:既存レーザプロファイラデータを活用した土砂災害警戒区域等の検討
悪い例:総合治水対策特定河川事業○○川△△地区築堤詳細設計
良い例:水際の生態系保全・再生に特に配慮した中小河川の築堤設計(○○川)
また、「受験申込書はそんなこと全然考えないでここに書いてある『悪い例』みたいな書き方で出しちゃってるよ!」という方、こうした方も「良い例」のタイトルを付けることをお勧めします。あとは口頭試問の時に「体験業務A(B)は業務経歴書のこの業務」というトレーサビリティが確保(要はキチンと説明できること:多分向こうから聞いてくると思います)できていれば全く問題ありません。
●2例概述・書く順番
時系列ではなく、あくまで(1)概要だけの業務、(2)詳述もする業務の順番にするのがよいと思います。この場合は(1)B業務、(2)A業務となります。理由は後で説明いたします。
●B業務の記載内容
概述だけのB業務は、業務概要(業務内容、実施地域、実施時期や発注者等)、課題、技術的成果を簡潔ながらも要領よく記載する必要があります。文字数は概ね250字~350字程度(およそ7行~8行程度)が望ましいです。但し、フォローは口頭試問でいくらでもできます。課題や技術的成果を簡潔に述べることは必要ですが、記述内容だけでこの全ての要素が伝わる必要はありません。
●A業務の記載内容
詳述もするA業務は、業務概要と苦心した事項程度をごく簡潔に記述することとし、末尾に「本業務は特に課題解決のため創意・工夫を要したことから本業務について詳述する。」などと書いて詳述論文につなぎましょう。そう、時系列を無視して詳述業務を後ろにするのはこのように「概述を短く、かつ詳述にそのままつなげる」ことが目的です。文字数は5行、200字程度が目安です。
そのままつなげずに『1.技術士としてふさわしい2業務』『2.業務の詳述』などと大きな章立てを付けて分けて書く方法(私は都市計画の時そうしました)もありますが、技術的体験論文は何しろ枚数が少ないです。可能な限り本文の記述スペースにするためには「章立ての行が節約できる」「詳述もする業務(この場合A業務)の概要を非常に簡潔なものに出来る」という理由から章立てを分けず「概述を短く、かつ詳述にそのままつなげる」方法がおすすめです。
■業務の詳述
●章立て
章立ては課題で与えられていますので、基本的には以下の通りとなります。課題で「あなた」とされている部分を「私」に変えただけです。
(1)私の立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)私が行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
章立て項目ごとに記載事項のポイントを示します。
●私の立場と役割
「私の立場」については管理技術者、主任技術者等という表記には全くこだわらなくて結構ですが、「業務の特に体験論文に記載したパートについては主体的責任者の立場として携わった」ことが伺える書き方にします。契約上の職種(管理技術者、担当技術者、調査職員や監督職員など)の他、組織名や役職で「主体的参画」をにおわせるのもあり です。
また、「役割」に関してこれは私が旧制度の体験論文から実践している姑息な手段ですが、単に「私は△△として、○○を担当した。」ではなく「私は△△として、「A」に主体的に携わるとともに、「B」を行った。」などと複数業務分掌を記載するようにしています。この方がなんとなく「総合的に携わった」感じがするからです。
とりあえず、記載例を以下にいくつか挙げておきます。
例1
私は、主任担当技術者として、公共下水道基本計画見直しに係る調査・計画に主体的に携わるとともに発注者や各種関係機関との調整を担当した。

例2
私は技術部技術一課長として、樋管設計にあたって必要な各種検討を行うとともに、詳細設計全体のとりまとめを担当した。

例3
私は下水道計画課長の立場で、事業認可計画全体のとりまとめを担うとともに、関係機関やコンサルタントへの指示や調整を行った。

例4
私は本業務の管理技術者として、業務全般におけるとりまとめを行うとともに、発注者や各種関係機関との調整を担当した。

例5
私は本業務の主任技術者として、公園整備に関する調査・検討を行うとともに、○○公園整備ワークショップにファシリテータとして参画した。

●業務を進める上での課題及び問題点/私が行った技術的提案
ここの内容については、あなたが行った業務次第です。但し、書き方のコツのようなものは存在します。そのへんを整理して述べたいと思います。
■課題は少数精鋭で
添削させて頂く論文で、あれもこれも検討し、検討結果が花盛りになっているものをよくみかけます。たしかにその業務でいろいろと検討して、多種多様な成果があったのでしょうが、技術的体験論文としては失格です。
技術士試験では基本的に「課題解決プロセス」を評価します。ここで、たかがA4×2枚の紙切れで説明できる「課題解決プロセス」にはおのずと限界があります。
たとえ実際にいろいろな課題があって、様々な問題点があってものすごく苦労した業務でも、論文で示す課題及び問題点はできればひとつ、多くても二つくらいに絞って下さい。でないと肝心の「課題解決プロセスが伝わる論文」にはなりません。
なお、削り落とした課題や問題点は無くなってしまったわけではありません。口頭試問の際、「この業務では、体験論文で示された内容以外に苦心された事項等はありますか」等と質問がくる場合がありますし、また、「この業務では論文に書かせて頂いたほかにこういった問題がありました」等とこちらからネタを切り出すケースもあります。こういう場面で活用しましょう。
■ふさわしい課題(課題解決プロセスが書けることが重要)
何度もいいますが、この論文は口頭試問とともに「課題解決プロセス」を評価するため書かせるものです。したがって、基準書やマニュアル等に「課題の解決の仕方」が詳しく書いてある物などはふさわしいとはいえません。
また、一般的に「高度な技術を用いた」だけという理由でもダメです。例えば、近年、構造物の耐震解析等で、構造物表面の格子模様の外力に伴う変化に基づいて解析するFEM解析という物があり、電算機で複雑な計算を行うのでまあ一般的には「技術的に高度」な部類といえます。しかしながら、単に「○○の耐震性についてFEM解析を行い評価した」だけでは「課題解決プロセス」として全く失格です。いまやPCの処理速度は速いですし、FEMの解析ソフトだっていくらでも売っています。技術的に高度といっても、入力事項さえ間違えなければ一年生でもできる業務です。
FEM解析をした業務について述べると、単にFEM解析をしたという内容ではなく、FEM解析の特徴を踏まえた上「○○という目的を果たすためFEM解析をするに至った」「○○という問題があったことからFEM解析による解析を提案した」という視点で書ける事項が「課題決定プロセス」が評価可能な業務です。そしてここで「○○という目的を果たす」「○○という問題を解決する」ということが課題と認識して下さい。
■「私」が主役のストーリー
インハウスエンジニアの方で、「△△を解決するため、設計委託していたコンサルタントの比較検討結果を踏まえ○○工法を採用した」等と書く方がいます。これ、ダメです。
あなたが論文に書く課題設定や解決策の提案は、実は上司のアドバイスに基づいたものだったのかもしれませんし、インハウスの方の場合は冒頭で示すように業務を発注していたコンサルタントの提案だったのかもしれません。でも、この論文を書くに当たってはとりあえず「私の提案」としてストーリーを組み立てて下さい。こうした多少の脚色はテクニックとして必要です。また、業務に主体的な立場で携わった責任者であれば、他人の提案等に基づいたとしても、結局「自らの技術的判断」により最終決定したということです。
口頭試問では「あなたが技術士にふさわしいのか」が評価されます。技術的体験論文は「私」が主役のストーリーであることは必須です。
■図表
技術的体験論文について受験参考書等を見ますと、図表をふんだんに取り入れろと書いてあるものが多いようです。このため、図表だらけ、場合によっては2頁のうち1頁がすべて図表という論文にも出くわします。
でも、ちょっと待って下さい。
これはあくまで技術的体験論文なんです。原則として文章があり、これを補足するために存在するのが図表です。いろいろ違う意見もあろうかとは思いますが、私は過度の図表依存は慎むべきと考えています。
でも、決して図表がダメといっている訳ではありません。
この論文の図表の目的はズバリ「口頭試問での論文補足説明」です。
口頭試問における定型質問に「あなたの経歴と体験論文について10分くらいで説明して下さい」というのがあり、変化技等も含めるとかなりの確率で聞かれます。
このときの説明で「論文の図-1をごらん頂くとわかりますが・・・」等として活用すること、これこそが図表の最大の目的です。この目的を十分踏まえ吟味した上で、必要と思われる図表をつけて下さい。
なお、図表を用いると効果的なものの代表例を以下に挙げておきます。
 ■業務全体、あるいは事業全体の流れ=>フロー図
 ■工期や経済性など、得失の比較検討結果=>比較検討表
 ■構造物の位置関係=>平面図
 ■設計条件、地盤条件等=>断面図(柱状図や支障物件付)
また、図表はいくらカラフルでも提出時には白黒印刷が強いられます。カラーの場合はモノクロ変換されたときどんな具合になるのか実際に印刷してキチンと確認、必要に応じカラーリング補正等を行い、見やすい、見栄えの良いものを目指しましょう。
●技術的成果
この項目は1~2行の簡単な記述で十分だと考えます。具体的には以下のような感じです。
例1
○○樋管については、本設計に基づき平成○年度に工事発注され、平成△年3月に特に問題なく竣工した。

例2
本検討結果に基づき、平成□年□月に下水道事業認可変更手続きを行った。これに基づき平成○年の処理人口普及率△%をめざし鋭意整備を進捗中である。

例3
□□公園は、本検討結果による整備計画見直しに基づき、現在詳細設計が進められている段階である。

また以下のような事項もこの項目で記述すべきです。
 ▼業務表彰を受けた
 ▼竣工後に景観やデザイン等が表彰された
 ▼取組がマスコミ等で大々的に取り上げられた
●現時点での技術的評価及び今後の展望
過去を振り返ること、そしてさらなる未来のあるべき姿を論じることは人生にとって重要なことです(なんのこっちゃ)。
この項目をおろそかにする人は、口頭試問で泣きます。
特に未来のあるべき姿について、そのとき旬な技術的話題を俯瞰にとらえ、時流にあったテーマに基づき書くことです。そして、現実的な実現可能性なんてあまり気にしないで、あなたの思いを書くべきです。
参考例として、私の都市計画受験時の実例で説明します。
私は技術的体験論文について、ワークショップ運営による水辺空間整備をネタに書きました。
ここで、建設一般的、都市計画専門的に「ワークショップによる水辺空間整備にあたり今後取り組むべき課題」という設問を想定し、この答えは以下の通りと考えました。
 ●持続的な維持管理に向けた取組
 ●まちづくりと一体となった取組
 ●水辺空間の多様な機能の活用
以上を踏まえ、次のように記述しました。
 今後はパークを自らの地域やまちの重要な資産としてとらえ次に挙げるような施策を着実に進めていくことで、パークを核としたまちづくりを進め、地域活性を強化していくことが重要と考える。
 ①永続的なパークの維持管理、イベント企画等の取り組み(アダプト制度・協賛等)
 ②市街地サイン、景観等、パークとまちを一体に考えたまちづくりの推進
 ③パークの地震時避難空間としての活用等、地域防災、減災のための活用推進
あたりまえでも、理想論でもいいんです。時流にあった「今後のあり方」で締めましょう。
技術士二次の筆記試験が終わったばかりですが、国土交通省河川・・・おっと、水管理・国土保全局から早くも来年の河川専門のネタが二つ示されました。
筆記に通った場合は口頭試問でネタにされるケースもありますので河川専門の人は留意して下さい。
※リンクを張っていますがサブフォルダが河川局(river)のままです。多分近々サイトリニューアルがあると思います。なのですぐに資料はダウンロードした方がよいと思います。
●「高規格堤防整備の抜本的見直しについて(とりまとめ)」について(H230811記者発表)
「どうして2番じゃダメなんですか!」
蓮○議員が張り切って、一時は事業丸ごとお払い箱っぽかったスーパー堤防ですが、東日本大震災を踏まえ「超過洪水(津波)対策の必要性と効果」が見直されたことから一部事業は存続するようです。
まあ、400年かかるというピラミッドや万里の長城を遙かにしのぐ壮大な事業は事実上撤退で、都市部など重要区間の一部復活ですが・・・。
あと2年間は民主党が政権に関わる可能性が高いので、少なくともこの間は「この提言に基づいて見直す」というのが国の方針となります。この問題はなんといっても時事ネタとして社会的関心が高く、こうしたものは専門問題のネタにされやすい傾向にあります。ひととおり理解をしておきましょう。
●「河川への遡上津波対策に関する緊急提言」について(H230822記者発表)
遡上津波対策についてまとめられた提言です。個人的には今年の専門に出るんじゃないかと予測していました。これに基づき今後各種の外力設定方法等が基準化されていくと思います。おそらく来年度の筆記では最右翼と考えてもおかしくないネタです。予習して理解に努めましょう。
技術士二次の筆記試験が終わったばかりですが、国土交通省都市・・・おっと、水管理・国土保全局下水道部から早くも来年の下水道専門のネタが示されました。
下水道における東日本大震災の震災復興本復旧のあり方について示しています。
特に処理場やポンプ場の機能について、「地震で壊れない」「1週間以内に復旧」「半年以内に復旧」と3段階に分けて整理しています。これはそのまま今後BCP策定における重要な目安となります。
また、千葉県等で多発した管路施設の液状化復旧に関しても方向性が示されています。
下水道は「処理場ネットワーク化」「自家発の設置位置」「BCP」等、今年も震災ネタが山盛りでしたが、来年ももちろんこの傾向は予測されると思います。また、筆記が通って口頭試問にいくと、かなりの確率で質問がくると考えられる事項です。
最新情報で研鑽を進めて下さい。
●「東日本大震災で被災した下水道施設の本復旧のあり方」(下水道地震・津波対策技術検討委員会とりまとめ)について(H230815記者発表)

タグ : 下水道 技術士

今年の都市及び地方計画のI-2-1は良問だと思います。
おもしろそうなので解答してみました。
I-2-1 下の表は、ある地方都市の人口等の推移である。この都市の現状及び推移のそれぞれについて、都市計画の観点から重要と考えられる事象を挙げて説明せよ。また、この都市の将来についてあなたが考える課題を1つ挙げ、行政がとるべき対応策とその適用に当たっての留意点を述べよ。
都計1-1-1表

設問における地方都市をA市とした上で、以下に解答を記述する。
  

1.A市の現状及び推移

 A市では、市域の総人口、DID 地区内面積と人口、市街化区域面積と人口のいずれもが1965年から1985年にかけて増加している。これは、高度成長期からバブル期にかけて、人口の急激な増加とともに都市構造の拡大が進んだことを示している。

 しかしながら、バブル期以降、市街化区域の人口は引き続き微増傾向にあるが、総人口は1985年以降に早くも減少に転じている。我が国全体の人口ピークは2005年頃と推定されている。したがって、A市の少子・高齢化による人口減少は全国平均よりかなり早く始まっているといえる。これは3大都市圏以外の地方中小都市の典型的なケースである。

 一方、市街化区域に関しては、1995年から2005年にかけても約300ha強拡大している。A市では人口減少社会を迎えた以降も、拡大基調の都市政策を取りつづけていることが伺える。

  

2.都市計画の観点から重要と考えられる事象

 私は以上に示した現状及び推移から、都市計画において重要な事象には以下に挙げるようなものがあると考える。

1) 市街化区域拡大や都市計画道路新設等に伴い、住宅団地のほか、公的機関、病院、大型商業施設等の郊外立地の拡大

2) 上記の都市構造拡散と、全国的に進んだモーターリゼーション進展等による「クルマ社会化」の進行と、これに伴う鉄道、バス等公共交通機関の衰退

3) 郊外に立地していた農地や山林等が開発行為等により失われてしまったことによる緑被率の減少

4) 都市計画道路(バイパス)沿いへの郊外型大型商業施設立地等に伴う中心市街地の衰退

  

3.A市が解決すべき課題

 以上に示した事象に対応するため、A市の都市行政は、無秩序な拡大基調の都市政策を改めるとともに、今後ますます進行する高齢化に対応可能なまちづくりを進めていく必要がある。このためには、都市構造の集約化等の施策により「歩いて暮らせるまちづくり」を目指すべきと考える。 

 

4.A市行政が取るべき対応策と留意点

(1) 都市構造の集約と中心市街地活性化

 公共施設や病院、商業施設等、都市拠点機能の中心市街地への再配置を検討すべきである。また、これまで郊外部に居住していた高齢者等を受け入れる居住区についても、中心市街地至近に設ける必要がある。同時に、中心市街地への商業施設誘導等により、中心市街地に失われていたにぎわいを取り戻す取組も必要である。このようなコンパクトなまちづくりを進めるに当たっては、住民や地権者、商工関係者等との合意形成が重要である。このためには、こうした多様な関係者が主体的に計画に参画する仕組みづくりが必要と考える。

  

(2) 都市交通の再構築

 中心市街地を主体に、道路・交通体系の再構築を図る必要がある。公共交通について、融通性の高いLRT やデマンドバス等採用も含めた魅力向上策を図るとともに、歩道、交通結節点、車両等、連続性を持ったバリアフリー化を実現していくべきである。

  

(3) スマートシュリンクによる緑農地再生

 施設や住宅の郊外からの撤退により、利用密度が低下した郊外の土地利用をうまく誘導して、自然あふれる空間を目指していくことも必要である。未利用地となった郊外部に、緑地や農地、都市公園等を配置することで、緑豊かな都市外輪部を構成することが求められる。

―以上―


こんな感じでどんなもんですかね・・・
今年の問題総括もひとまず最後となりました。
都市及び地方計画のI-2について、私見に基づき振り返ってみたいと思います。
I-2 次の6設問(I-2-1~I-2-6)のうち1設問を選んで解答せよ。(解答設問番号を明記すること。)
 I-2-1 下の表は、ある地方都市の人口等の推移である。この都市の現状及び推移のそれぞれについて、都市計画の観点から重要と考えられる事象を挙げて説明せよ。また、この都市の将来についてあなたが考える課題を1つ挙げ、行政がとるべき対応策とその適用に当たっての留意点を述べよ。

都計1-1-1表 

I-2-2 建替事業が進められるマンションの特徴を述べよ。また「建物の区分所有等に関する法律」の建替え決議を経て、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づき行われるマンション建替事業について、 その進め方を説明せよ。さらに、一団地に数棟の建物がある団地型マンションの建替事業に特有の問題を挙げ、 その解決のためにどう対応すべきかあなたの考えを述べよ。
I-2-3 近年、多くの都市において、都市計画道路の廃止・変更等の見直しが行われている。このような取組が進められている背景を述べた上で、都市計画道路の見直し案の作成に当たっての課題を3つ挙げ、それぞれの課題に対する具体的な対応方策について、あなたの考えを述べよ。
I-2-4 密集地区を含む既成市街地において、土地区画整理事業を活用し、居住環境や防災性の向上を図るための市街地整備を行う場合、合意形成、事業計画策定、換地計画策定及び工事実施の各段階における課題を2つずつ挙げ、それぞれについて具体的な解決方策を述べよ。なお、事業計画策定、換地計画策定及び工事実施の各段階の解決方策には、課題解決に有効な他事業との連携方策を含めること。
I-2-5 平成18年に施行されたいわゆるバリアフリー新法により、公共施設等のバリアフリー化に向けた各種の取組が行われてきているが、この背景又は意義を2つ述べよ。また、「移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置に関する基準」に定められた主な内容について、都市公園の管理者に課せられた2つの義務に触れつつ述べよ。さらに、これからのユニバーサルデザインによる都市公園の計画設計や整備、管理などを一層推進していく上での課題と解決方策について、あなたの考えを述べよ。
I-2-6 近年、多様な観点から、里地里山の持続的な保全が求められているが、里地里山がおかれている現状と保全が求められている社会的背景を述べた上で、持続的な保全の意義を3つ挙げよ。また、里地里山の持続的な保全に資する法律や条例に基づく制度を2つ挙げ、それぞれの制度ごとに、持続的な保全をさらに進めるための方策について、あなたの考えを述べよ。
I-2-1は狭義の都市計画分野の問題ですが、これまで見たことがない、データから現状を分析、課題を考察させるとともに都市計画行政がとるべき対応策について書かせる問題です。役所や委託業者で都市計画実務にどっぷり携わり、よりよいまちづくりのため日々を過ごしてきた方なら、準備がなくとも手応えのある解答が書けたはずです。

私なりに解答方針を考えてみます。

表からは、高度成長期からバブル期にかけ、総人口、DID区域面積や区域内人口ともに伸びていますが、バブル期以降人口はいずれも減少に転じていることが読み取れます。一方、都計法における市街化区域は近年になっても拡大を続けているようです。
高度成長期からバブルにかけてのDID区域の拡大や区域内人口の急伸は、スプロール現象を示しています。しかしながら、DID区域内、総人口とも、少子高齢化の影響を受け、近年は人口減少傾向が止まりません。
にもかかわらず、市街化区域の面積拡大傾向は相変わらずのようです。私は都市計画行政上、ここに大きな問題があると思います。
この都市は、もはやむやみな都市構造の拡散などは考えずに、都市構造の集約化やスマートシュリンク等に向けた施策へと都市政策の転換を図るべきです。

というのが私の考察結果ですが、どんなもんでしょうかね。いずれにしろ、非常に良問だと感じました。
I-2-2は、都市再開発分野ではおなじみの「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」問題です。国土交通省サイト内のここなどが非常に参考になります。特に、高度成長期に建てられた団地型マンションの立替は独特の問題をはらんでいます。上記したサイトからマニュアルがダウンロードできますが、これに問題点や解決方策が詳しく載っています。このあたりが解答のツボだと思います。
I-2-3は交通計画分野の都市計画道路見直しに関する出題です。都市計画道路というと、用途指定図にただ線だけ入っていて「絵に描いた餅」というイメージがありましたが、例えばこの横浜市の事例のように、近年は「スタートしたら止まらない公共事業計画」という悪習を改め、「絵に描いた餅」はなくす方向で積極的に見直す取組が各地で行われています。まあ、都市計画というよりも、どちらかというと道路計画に従事されている方が得意な分野ではないでしょうか。
I-2-4は毎度おなじみの土地区画整理事業による木造密集市街地対策の問題です。今回の問題は、区画整理事業に関して、基本的な業務遂行段階毎の課題や解決方策を書かせる総合的な問題です。特徴は、「課題解決に有効な他事業との連携方策を含める」という但し書きです。中心市街池活性化施策や公園事業、交通結節点再整備などが該当するのではないかと考えます。
I-2-5は公園緑地分野におけるバリアフリーに関する問題です。バリアフリーに関しては法改正があったので注目はしていましたが、公園限定で出されました。バリアフリー新法の背景と意義は、私が平成20年に解答したほぼそのまんま(ここで詳述しております)でOKだと思います。
設問にもある移動等円滑化のために必要な特定公園施設の設置に関する基準を事前に勉強した方であればA評定レベルの物が書けると思います。
また、「都市公園の管理者に課せられた2つの義務に触れつつ」とあります。あくまでも私の憶測ですが、「施設のバリアフリー化を図る」「バリアフリー施設の利用状況のモニタリング等を継続しPDCAに基づいた改善を図る」の2つに触れればよいのではないかと思います。
I-2-6は公園緑地分野の問題で、お題は近年流行の「里地・里山の保全」。意義は「都市景観」「生物多様性保全」「環境学習の場の提供」「温室効果ガス抑制やヒートアイランド防止」等、一般的な緑地整備の意義と殆ど同じで構わないと思います。「里地里山の持続的な保全に資する法律や条例に基づく制度2つ」は別に環境省所管の里地里山と冠言葉がついた制度等を挙げなくとも、都市緑地法の各種の民地緑地を保全するための制度(屋上緑化とかはちょっと趣向が違いますね・・・)や生産緑地制度等、緑地保全・再生に係る制度に言及すればよいと考えます。
以上が今年の都市及び地方計画のI-2です。非常のオーソドックスであり、なおかつ大震災の影響は全くありませんでした(I-2-4の密集市街地問題も今回の被災とはあまり関係ないと判断できます)。大震災に関しては、各地で復興まちづくり計画が固まってきている来年にでも爆発するのでしょうか・・・。
以上で平成23年度の問題総括を終わります。
問題文をご提供いただいた受講者の皆様、ありがとうございました。
今年出題された都市及び地方計画専門I-1について、私見に基づき振り返ってみたいと思います。
I-1 次の2設問(I-1-1、I-1-2)のうち1設問を選んで解答せよ。(解答設問番号を明記すること。)
I-1-1 まちづくりに関して行政が施策や事業の計画を立てるに当たり、目標と数値指標を設定し、成果を事後評価する取組が普及してきた。このような「成果志向の計画マネジメントの取組の意義又は効果」を3つ説明せよ。また、まちづくりに関連する計画について「目標及び対応する数値指標」の例を1つ挙げ、その指標が適切と考えられる理由を説明せよ。
I-1-2 公共公益施設の整備や維持管理においてこれまで公民連携による取組が行われてきたが、近年、「新しい公共」が提唱されるなど、多様な担い手が地域の生活を支え、活力を維持していくことが求められている。これまで取り組まれてきた公民連携による公共公益施設の整備又は維持管理に係る手法を3つ挙げ、それぞれについて、概要を説明するとともに特徴又は課題を述べよ。また、公共公益施設の整備又は維持管理を通じて、地域住民や利用者の主体的な取組を促し、地域を活性化する方策を述べよ。
I-1-1は業務指標に基づいた計画マネジメントとでもいえるような問題です。都市計画というか、特に道路分野でかなり先進的に取り組まれてきました。実は昨年、上下水道部門の一般問題でこれに類似した問題が出て、こんなの役人か最上流側業務を担う一部大手水コンサル職員しか対応できないとさんざん非難を浴びました。(その割には昨年度下水道の合格率は2割以上と高かったのが謎なんですが・・・)
これが今年は都市計画専門に乱入してきたのかというのが正直な感想です。上下水道と同様に、インハウスの方は日々の業務でも携わっている方が多いと思いますので乗り切れる方も多いと思いますが、コンサルの、それも公園・緑地関連の人なんかですと、難しそうですね。私もこんな出題された日には、手も足も出ないというのが正直な感想です。
I-1-2はI-1-1とは逆で、特に公園・緑地関連で「市民参画」「ワークショップ運営」等に携わった経験があれば旬のネタでバッチリいけたと思います。公共投資が減り、役所の予算や人員が削られる中、自民党政権末期に「新たな公」という言葉が出てきて、民主党政権の今はこれが「新しい公共」となり、公共資本の整備や維持管理への参画が期待されています。こうした時流をきちんと認識し、関連知識を学習した人であれば高評価が期待できる解答ができたのではないでしょうか。
都市及び地方計画の I-1は、私的には「震災復興まちづくり」が大本命と確信していましたので、建設一般同様裏切られた感じがします。今日現在復興計画の青写真がいろいろ策定されていますが、未だ実現に向けた確実なステップに至っていない現段階では出題は無理だったのかな等と考えております。
河川、砂防及び海岸・海洋専門I専門問題のうち、Bグループの問題について私見に基づき振り返ってみたいと思います。
I-3 近年、局地的な大雨や集中豪雨に起因する中小河川における洪水等の水災害が多発している。これらの災害の特徴を踏まえ河川管理上の課題を述べるとともに、今後の水災害の監視、予測のあり方について論ぜよ。
I-4 一級水系の河床・河岸材料が砂利(代表粒経が2cm以上)で構成される河道区間(セグメント区分1、2-1)において、下記の条件のもとで生じうる河道縦断形状の変化及びそれに伴う河道横断形状・砂州・河床材料等の変化について説明せよ。

・当該区間の下流端において河床材料が砂の河道区間と接合する。
・当該区間は、当初、長期的に見て河道変動が小さい安定的な状態であったとする。
・その後、当該区間の上流端からの砂利供給量は減少し、流量については長期的な増減傾向がないとする。
・河道変化の過程において、河道掘削や床止工・護岸など河川構造物の設置といった人為作用の影響は考慮しなくてよいとする。
 
 また、それら河道変化がもたらす治水上の課題とそれに対する河道・河川構造物の維持管理の基本的考え方と具体的方策について論ぜよ。

I-5 地震発生後におけるダムの臨時点検に関する以下の問いに答えよ。
(1)ダムの堤体に関する臨時点検の実施内容(手順、点検項目とその理由)及び臨時点検の結果に応じたダムの安全性評価や必要な対応の考え方をコンクリートダム及びフィルダムの場合についてそれぞれ説明せよ。
(2)臨時点検の結果に応じたダムの安全性評価や必要な対応に係る的確な判断が可能となるよう、ダムの安全管理において留意すべき点について論ぜよ。

I-6 ダム下流の土砂環境に配慮した堆砂対策を検討する際に必要となる、堆砂にかかわるデータの種類と利用目的について説明せよ。また、ダム下流に土砂供給可能な堆砂対策手法を複数取り上げ、土砂環境への影響を含む適用性の観点からその特徴を論ぜよ。ただし、対象とするダムは、比較的長い運用年数を経験した洪水調節を目的に含む多目的ダムとする。
I-7 火山噴火による降灰の堆積後の降水を発生原因とする土石流に関し、その現象の特性を明らかにしつつ、土石流に対して講ずべき対策について、ハード・ソフト両面から述べるとともに、被害の生じるおそれのある区域及び時期の想定に関する調査についての考え方、手法及び調査実施上の留意点について述べよ。
I-8 地震により発生する土砂災害の形態とその特徴を述べるとともに、災害後の地域の安全を図るための対策の考え方について述べよ。
I-9 海岸堤防天端高の計画・設計の手順・方法について述べるとともに、最近の災害の特徴や海岸を取り巻く状況を踏まえた海岸堤防天端高設計のあり方について論ぜよ。
Ⅰ-10 海岸侵食対策のための調査の手順・方法について述べるとともに、海岸侵食の機構を踏まえて海岸侵食対策のあり方について論ぜよ。
I-3は毎度おなじみの防災・減災ネタの中小河川・都市型水害限定版といったところでしょうか。特徴は設問にもあるように、「河川管理上」「監視や予測のあり方といった情報収集や提供」につっこんだ解答が求められると思います。もしも今年私が受けたとすれば、間違いなくこれを選ぶと思います。
I-4はセグメント分類に基づいた河床材料。うーん、かなりマニアックですね。これはこの手の分析に基づいた河川整備計画策定等に具体的に携わった方じゃなければマトモに書けない気がします。
I-5は震災ネタと考えられます。普段こうした業務に従事しており、なおかつ先の大震災で点検に携わった方等なら、的確な解答が書けるのかな。また、フィルダムにも触れているので、震災で決壊、甚大な被害を出した福島県の藤沼ダム決壊について学習していた方も非常に役に立ったと思います。
I-6はダム限定の土砂管理ネタです。実際に既に長期間管理しているダムに排砂設備とかの追加を計画する業務等に携わっている方なら基礎的な知識があると思いますので書けたのではないでしょうか。
I-7は震災ではないですが、このところ大雨のたびに九州の新燃岳付近で土砂災害警報が出ていましたので、完全に時事ネタですね。勉強された方は多いと思いますしそうした方は満足な解答が書けたことと思います。
I-8も完全な震災ネタです。また、「地震に伴う土砂災害」ですので、東日本大震災では発生しませんでしたが、近年多発の「天然ダム」に深く傾倒した解答もありだと思います。
I-9も、これまた今年の出題ということを踏まえると震災ネタとしか考えられません。ただ、田老町防潮堤の全面的損壊と普代村の村を完全防御した防潮堤、どういう展開にするかは非常に難しいと思います。ただし、私ならやはり、「これまでの想定は施設整備で考慮」「これまでの想定外には多重防御も考慮」で書くと思います。
I-10は総合的土砂管理の海洋版です。離岸堤やヘッドランドが有効な対策ですが、こうした施設計画は海岸環境との兼ね合いで近年漁業者やサーファー等の反対運動も多いと聞きます。環境的な視点も重要となるのではないでしょうか。
以上、今年の河川、砂防及び海岸・海洋専門・Bグループは総体的に見るとかなり震災の影響を受けた出題となりました。
但し、私は出ると予測していたのですが、河口近くの築堤や護岸等の津波防御機能に関する設問がありませんでした。まあ、まだ、正式な設計手法など方針が決定していない現段階では出題は困難な気もしますが・・・。
今年の河川、砂防及び海岸・海洋の専門問題I-1・Aグループの出題について振り返ってみたいと思います。
I-1 水分野における気候変化への適応策に関する下記の問いについて答えよ。
(1)気候変動に関するパネル(IPCC)は、2007年に発表した最新の報告書(第4次評価報告書)において、「温暖化には疑う余地がない」と断定した。このことを踏まえ、あなたの得意とする分野でどのような影響があるかを3つ以上挙げ、気象・水循環のプロセスを踏まえつつ述べよ。

(2)(1)で挙げた影響に対する適応策について、どのような施策メニューが考えられるか、あなたの考えるメニュー群をまず3種類以上に大分類した上で述べよ。

(3)アジア・太洋州地域において、早急に水災害分野における気候変化への適応策検討を進めていくことが求められているが、あなたが得意とする分野でどのような国際貢献を行なうべきか、我が国の取組を踏まえつつあなたの考えを述べよ。

I-2
(1)以下について説明せよ。
 ①「液状化の発生メカニズム」
 ②構造物の耐震設計に用いる「耐震法」
ただし、②の説明には設計震度並びに強震帯、中震帯及び弱震帯という言葉を含むこと。

(2)東北地方太平洋沖地震も踏まえ、今後の構造物の耐震設計のあり方について、あなたの考えを想定する地震動の強さに応じて具体的に記述せよ。

昨年は「事業再評価制度」「プロジェクトマネジメント」という非常に毛色の変わった問題が出され今年の動向に注目していましたが、今年はそれ以前の出題傾向に完全に戻ったというのが正直な感想です。
去年の問題では、「河川の設計屋さんには今後は技術士資格を与えない方針なのか」等と危惧しましたが、今年のI-2等はどっぷりと構造物設計に浸っている人でなければ解答困難です。去年は「タマタマ」だったのでしょうかね。
I-1は平成21年度にもほとんど同じ出題がされていました。このため、この問題に対する解答骨子等を学習した人はよく書けたのかなと考えます。ただ、平成21年度と比較して「3つ以上」「3種類以上」「アジア・太洋州地域における国際貢献」等、やたら「解答項目や数の具体的指定」が増えました。こうした付与条件をきちんと守りつつ解答するのはかなり大変だったと想定されます。
I-2はモロに震災ネタです。冒頭で示したとおり、昨年の出題では「もはや河川関連の設計屋は技術士は取れなくなるのか」と危惧しましたが、設計屋の皆様ご安心下さい。この問題は構造物設計に本当にどっぷり浸っていないと解答できないシロモノです。
河川構造物の耐震設計に関しては、国交省から平成19年に指針が示されています。ネタ本は間違いなくこれです。
指針によりますと、「本指針のレベル1地震動は従来の震度法による設計震度を踏襲して設定した」とあります。また、強震帯、中震帯、弱震帯は地域別補正係数czの区分のことで、それぞれ1.0、0.85、0.7を取ることになっているそうです。このあたりを織り込むことが付与条件になっています。
それにしても、説明に含む語句の指定等、I-1と同様、「解答事項の指定」がより顕著になったと考えます。 この分A評定の解答を書くには十分な予習が必要な感じがします。
いやいや、河川Aグループは昨年度の問題から、「今年は一体どんなものが出されるのか予測困難」な状況でしたが、蓋を開けてみると実にオーソドックスな問題だったというのが正直な感想です。
今年の下水道専門問題のうち、I-2について私見に基づき振り返ってみたいと思います。
I-2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)
I-2-1 小規模下水道(計画人口が概ね10,000人以下)の対象となる地域の特徴について説明するとともに、小規模下水道を計画・設計する上での留意点を述べよ。
I-2-2 下水処理場のネットワーク化の意義について説明するとともに、ネットワーク計画を立案する際の検討手順と留意点を述べよ。
I-2-3 下水道施設の空間(下水処理場の上部空間、管渠内空間等)の利用について、その意義を説明するとともに、利用計画策定に当たっての留意点を述べよ。
いずれも過去にも類似出題のあったようなオーソドックスなものばかりです。
I-2-1は小規模下水道計画の留意点で、これまで何度も問われています。
私も受験当時以下のような論文を準備しました。はしょる必要がありますが、基本的には以下の内容が解答に要求される事項だと思います。

小規模計画1 小規模計画2 小規模計画3
余談ですが、下水道第一種技術検定というなんともマニアックな試験があるのを下水道の技術士を目指す方ならご存じと思います。私は平成7年度にこの資格を取ったのですが、このときの論文の問題もこのようなものでした。
I-2-2は震災の影響を受けて出題された可能性があると思います。
複数処理場間のネットワーク構築により、地震被災時など非常時のバックアップ体制構築が意義の最たるものだと思います。検討事項と留意点は、数年前に下水道新技術推進機構からマニュアル本が出ていますが、これに書かれていることでも書けばよいのでしょうか・・・。
I-2-3は、「下水道の有効利用」の一環としての処理場上部空間と下水管路内光ファイバーの民間開放です。処理場上部空間と光ファイバーは同じ有効利用でも全く異なるものです。設問で「下水処理場の上部空間、管渠内空間」とありますので、2つそれぞれ書かなくとも、総論として施設有効活用の意義を述べるとともに、利用計画はどちらかを選んで細かく書く(両方の具体的論述は紙数から不可能っぽい)のも有りなのかもしれません。
いずれにしろ、今年の下水道の専門問題は、I-1、I-2とも非常に素直だと感じました。
その分平均点は高いのかなと考えています。

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