技術的体験論文記述における留意点

これまでの3部門5科目の合格経験に基づき、貴方の技術士二次試験受験について徹底的にサポートさせていただきます。
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お盆休みもそろそろ終わりです。皆様十分リフレッシュできましたでしょうか?。
さて、とりあえず8月7日の筆記試験で、全ての解答を提出できた人であれば、そろそろ技術的体験論文の作成に取りかかることをお勧めいたします。
今日は、私が考える技術的体験論文作成のポイント等について述べたいと思います。
■課題(総合技術監理部門以外の技術部門共通)
今年(というか毎年同じなんですが・・・)の技術的体験論文の課題については、日本技術士会からすでに発表されております。
あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について、実際に行った業務のうち、受験した技術部門の技術士にふさわしいと思われるものを2例挙げ、それぞれについてその概要を記述せよ。さらに、そのうちから1例を選び、以下の事項について記述せよ。
(1)あなたの立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)あなたが行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
以上の課題に基づき、章立てごとに書き方やポイントについて示します。
■技術士にふさわしいと思う業務2例
賢明な受験生であれば、もちろん受験申込書作成の段階で、どの業務について書くかはすでに決定しているはずです。
このうち、詳述する業務をA業務、概要だけ記述する業務をB業務とします。
まずボリュームですが、AとB合わせて10行~15行程度が目安です。
●タイトル
業務名称(タイトル)ですが、経歴書記載時と同様に役所的な事業名や業務名等は極力避け、何を検討、何に苦心した業務か」がわかるような物とすべきです。
さらに、タイトルですのでやはり可能な限り1行に収まった方が見栄えもよいと考えます。このため36~38文字(様式は40文字ですが残りは「1.、2.」「業務1:、業務2:」等表題番号に使用)以内に収めましょう。
タイトル名の悪い例良い例をいくつか下に挙げておきます。
悪い例:平成19年度○○市都市計画事業線引変更見直し調査・検討業務委託
良い例:政策横断的な土地利用計画の大幅見直しを考慮した線引見直し検討
悪い例:△△市公共下水道事業・第6次事業認可変更図書作成業務
良い例:人口フレームの大幅見直しを考慮した公共下水道事業認可設計(△△市)
悪い例:平成20年度通常砂防工事基礎調査委託(その3)(砂防指定地××沢)
良い例:既存レーザプロファイラデータを活用した土砂災害警戒区域等の検討
悪い例:総合治水対策特定河川事業○○川△△地区築堤詳細設計
良い例:水際の生態系保全・再生に特に配慮した中小河川の築堤設計(○○川)
また、「受験申込書はそんなこと全然考えないでここに書いてある『悪い例』みたいな書き方で出しちゃってるよ!」という方、こうした方も「良い例」のタイトルを付けることをお勧めします。あとは口頭試問の時に「体験業務A(B)は業務経歴書のこの業務」というトレーサビリティが確保(要はキチンと説明できること:多分向こうから聞いてくると思います)できていれば全く問題ありません。
●2例概述・書く順番
時系列ではなく、あくまで(1)概要だけの業務、(2)詳述もする業務の順番にするのがよいと思います。この場合は(1)B業務、(2)A業務となります。理由は後で説明いたします。
●B業務の記載内容
概述だけのB業務は、業務概要(業務内容、実施地域、実施時期や発注者等)、課題、技術的成果を簡潔ながらも要領よく記載する必要があります。文字数は概ね250字~350字程度(およそ7行~8行程度)が望ましいです。但し、フォローは口頭試問でいくらでもできます。課題や技術的成果を簡潔に述べることは必要ですが、記述内容だけでこの全ての要素が伝わる必要はありません。
●A業務の記載内容
詳述もするA業務は、業務概要と苦心した事項程度をごく簡潔に記述することとし、末尾に「本業務は特に課題解決のため創意・工夫を要したことから本業務について詳述する。」などと書いて詳述論文につなぎましょう。そう、時系列を無視して詳述業務を後ろにするのはこのように「概述を短く、かつ詳述にそのままつなげる」ことが目的です。文字数は5行、200字程度が目安です。
そのままつなげずに『1.技術士としてふさわしい2業務』『2.業務の詳述』などと大きな章立てを付けて分けて書く方法(私は都市計画の時そうしました)もありますが、技術的体験論文は何しろ枚数が少ないです。可能な限り本文の記述スペースにするためには「章立ての行が節約できる」「詳述もする業務(この場合A業務)の概要を非常に簡潔なものに出来る」という理由から章立てを分けず「概述を短く、かつ詳述にそのままつなげる」方法がおすすめです。
■業務の詳述
●章立て
章立ては課題で与えられていますので、基本的には以下の通りとなります。課題で「あなた」とされている部分を「私」に変えただけです。
(1)私の立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)私が行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望
章立て項目ごとに記載事項のポイントを示します。
●私の立場と役割
「私の立場」については管理技術者、主任技術者等という表記には全くこだわらなくて結構ですが、「業務の特に体験論文に記載したパートについては主体的責任者の立場として携わった」ことが伺える書き方にします。契約上の職種(管理技術者、担当技術者、調査職員や監督職員など)の他、組織名や役職で「主体的参画」をにおわせるのもあり です。
また、「役割」に関してこれは私が旧制度の体験論文から実践している姑息な手段ですが、単に「私は△△として、○○を担当した。」ではなく「私は△△として、「A」に主体的に携わるとともに、「B」を行った。」などと複数業務分掌を記載するようにしています。この方がなんとなく「総合的に携わった」感じがするからです。
とりあえず、記載例を以下にいくつか挙げておきます。
例1
私は、主任担当技術者として、公共下水道基本計画見直しに係る調査・計画に主体的に携わるとともに発注者や各種関係機関との調整を担当した。

例2
私は技術部技術一課長として、樋管設計にあたって必要な各種検討を行うとともに、詳細設計全体のとりまとめを担当した。

例3
私は下水道計画課長の立場で、事業認可計画全体のとりまとめを担うとともに、関係機関やコンサルタントへの指示や調整を行った。

例4
私は本業務の管理技術者として、業務全般におけるとりまとめを行うとともに、発注者や各種関係機関との調整を担当した。

例5
私は本業務の主任技術者として、公園整備に関する調査・検討を行うとともに、○○公園整備ワークショップにファシリテータとして参画した。

●業務を進める上での課題及び問題点/私が行った技術的提案
ここの内容については、あなたが行った業務次第です。但し、書き方のコツのようなものは存在します。そのへんを整理して述べたいと思います。
■課題は少数精鋭で
添削させて頂く論文で、あれもこれも検討し、検討結果が花盛りになっているものをよくみかけます。たしかにその業務でいろいろと検討して、多種多様な成果があったのでしょうが、技術的体験論文としては失格です。
技術士試験では基本的に「課題解決プロセス」を評価します。ここで、たかがA4×2枚の紙切れで説明できる「課題解決プロセス」にはおのずと限界があります。
たとえ実際にいろいろな課題があって、様々な問題点があってものすごく苦労した業務でも、論文で示す課題及び問題点はできればひとつ、多くても二つくらいに絞って下さい。でないと肝心の「課題解決プロセスが伝わる論文」にはなりません。
なお、削り落とした課題や問題点は無くなってしまったわけではありません。口頭試問の際、「この業務では、体験論文で示された内容以外に苦心された事項等はありますか」等と質問がくる場合がありますし、また、「この業務では論文に書かせて頂いたほかにこういった問題がありました」等とこちらからネタを切り出すケースもあります。こういう場面で活用しましょう。
■ふさわしい課題(課題解決プロセスが書けることが重要)
何度もいいますが、この論文は口頭試問とともに「課題解決プロセス」を評価するため書かせるものです。したがって、基準書やマニュアル等に「課題の解決の仕方」が詳しく書いてある物などはふさわしいとはいえません。
また、一般的に「高度な技術を用いた」だけという理由でもダメです。例えば、近年、構造物の耐震解析等で、構造物表面の格子模様の外力に伴う変化に基づいて解析するFEM解析という物があり、電算機で複雑な計算を行うのでまあ一般的には「技術的に高度」な部類といえます。しかしながら、単に「○○の耐震性についてFEM解析を行い評価した」だけでは「課題解決プロセス」として全く失格です。いまやPCの処理速度は速いですし、FEMの解析ソフトだっていくらでも売っています。技術的に高度といっても、入力事項さえ間違えなければ一年生でもできる業務です。
FEM解析をした業務について述べると、単にFEM解析をしたという内容ではなく、FEM解析の特徴を踏まえた上「○○という目的を果たすためFEM解析をするに至った」「○○という問題があったことからFEM解析による解析を提案した」という視点で書ける事項が「課題決定プロセス」が評価可能な業務です。そしてここで「○○という目的を果たす」「○○という問題を解決する」ということが課題と認識して下さい。
■「私」が主役のストーリー
インハウスエンジニアの方で、「△△を解決するため、設計委託していたコンサルタントの比較検討結果を踏まえ○○工法を採用した」等と書く方がいます。これ、ダメです。
あなたが論文に書く課題設定や解決策の提案は、実は上司のアドバイスに基づいたものだったのかもしれませんし、インハウスの方の場合は冒頭で示すように業務を発注していたコンサルタントの提案だったのかもしれません。でも、この論文を書くに当たってはとりあえず「私の提案」としてストーリーを組み立てて下さい。こうした多少の脚色はテクニックとして必要です。また、業務に主体的な立場で携わった責任者であれば、他人の提案等に基づいたとしても、結局「自らの技術的判断」により最終決定したということです。
口頭試問では「あなたが技術士にふさわしいのか」が評価されます。技術的体験論文は「私」が主役のストーリーであることは必須です。
■図表
技術的体験論文について受験参考書等を見ますと、図表をふんだんに取り入れろと書いてあるものが多いようです。このため、図表だらけ、場合によっては2頁のうち1頁がすべて図表という論文にも出くわします。
でも、ちょっと待って下さい。
これはあくまで技術的体験論文なんです。原則として文章があり、これを補足するために存在するのが図表です。いろいろ違う意見もあろうかとは思いますが、私は過度の図表依存は慎むべきと考えています。
でも、決して図表がダメといっている訳ではありません。
この論文の図表の目的はズバリ「口頭試問での論文補足説明」です。
口頭試問における定型質問に「あなたの経歴と体験論文について10分くらいで説明して下さい」というのがあり、変化技等も含めるとかなりの確率で聞かれます。
このときの説明で「論文の図-1をごらん頂くとわかりますが・・・」等として活用すること、これこそが図表の最大の目的です。この目的を十分踏まえ吟味した上で、必要と思われる図表をつけて下さい。
なお、図表を用いると効果的なものの代表例を以下に挙げておきます。
 ■業務全体、あるいは事業全体の流れ=>フロー図
 ■工期や経済性など、得失の比較検討結果=>比較検討表
 ■構造物の位置関係=>平面図
 ■設計条件、地盤条件等=>断面図(柱状図や支障物件付)
また、図表はいくらカラフルでも提出時には白黒印刷が強いられます。カラーの場合はモノクロ変換されたときどんな具合になるのか実際に印刷してキチンと確認、必要に応じカラーリング補正等を行い、見やすい、見栄えの良いものを目指しましょう。
●技術的成果
この項目は1~2行の簡単な記述で十分だと考えます。具体的には以下のような感じです。
例1
○○樋管については、本設計に基づき平成○年度に工事発注され、平成△年3月に特に問題なく竣工した。

例2
本検討結果に基づき、平成□年□月に下水道事業認可変更手続きを行った。これに基づき平成○年の処理人口普及率△%をめざし鋭意整備を進捗中である。

例3
□□公園は、本検討結果による整備計画見直しに基づき、現在詳細設計が進められている段階である。

また以下のような事項もこの項目で記述すべきです。
 ▼業務表彰を受けた
 ▼竣工後に景観やデザイン等が表彰された
 ▼取組がマスコミ等で大々的に取り上げられた
●現時点での技術的評価及び今後の展望
過去を振り返ること、そしてさらなる未来のあるべき姿を論じることは人生にとって重要なことです(なんのこっちゃ)。
この項目をおろそかにする人は、口頭試問で泣きます。
特に未来のあるべき姿について、そのとき旬な技術的話題を俯瞰にとらえ、時流にあったテーマに基づき書くことです。そして、現実的な実現可能性なんてあまり気にしないで、あなたの思いを書くべきです。
参考例として、私の都市計画受験時の実例で説明します。
私は技術的体験論文について、ワークショップ運営による水辺空間整備をネタに書きました。
ここで、建設一般的、都市計画専門的に「ワークショップによる水辺空間整備にあたり今後取り組むべき課題」という設問を想定し、この答えは以下の通りと考えました。
 ●持続的な維持管理に向けた取組
 ●まちづくりと一体となった取組
 ●水辺空間の多様な機能の活用
以上を踏まえ、次のように記述しました。
 今後はパークを自らの地域やまちの重要な資産としてとらえ次に挙げるような施策を着実に進めていくことで、パークを核としたまちづくりを進め、地域活性を強化していくことが重要と考える。
 ①永続的なパークの維持管理、イベント企画等の取り組み(アダプト制度・協賛等)
 ②市街地サイン、景観等、パークとまちを一体に考えたまちづくりの推進
 ③パークの地震時避難空間としての活用等、地域防災、減災のための活用推進
あたりまえでも、理想論でもいいんです。時流にあった「今後のあり方」で締めましょう。
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