平成23年度再現解答(建設環境・その2)

これまでの3部門5科目の合格経験に基づき、貴方の技術士二次試験受験について徹底的にサポートさせていただきます。
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もうすぐ年度末も終わり、いよいよ新たな年度となります。
それと同時に、今年も技術士試験の申し込みが開始、平成24年度の技術士受験シーズン(?)が正式にスタートします。
今日は、昨年の建設環境の合格論文について述べたいと思います。
今日取り上げるのは、Bグループの「多自然川づくり」です。
問題は下記の通りです。
I-9 多自然川づくりについて、以下の問いに答えよ。
(1) 多自然川づくりの現状と課題について述べよ。
(2) (1)で述べた課題を踏まえた上で、多自然川づくりを推進するために必要な方策についてあなたの考えを述べよ。
私は平成18年度に河川の技術士を取得しましたが、ちょうどその試験の直前、下記のような提言が国土交通省の設けた委員会から示されました。
■提言「多自然川づくりへの展開」
「これはクサイ」と思った私は、この内容に基づき「多自然型川づくり」の「現状と問題点」「課題」「今後のあり方」をとりまとめ学習しました。
結果としてこれがドンピシャリと大当たり、めでたく河川の技術士になれるきっかけとなりました。
以下に当時の問題と再現解答全文を掲載いたします。
平成18年度専門問題(河川、砂防及び海岸・海洋)
I-2-3(B) 
現在までの多自然型川づくりが抱える課題を分析し、今後の多自然型川づくりの推進方策について述べよ。
1.はじめに
 平成2年に「多自然型川づくりの推進について」が通達されてから約15年が経過した。この間、多自然型川づくりは広まりを見せるとともに、平成14年度には河川改修工事全体の約7割が多自然型川づくりが占める等、川づくりのスタンダードになるまでに至った。
 しかしながら、こうした川づくりの中には、画一的な断面形状で計画したり、かえって河床や水際を単調にしてしまっているものがある等、問題のあるものも数多く見受けられる状況である。
 以上のような点を踏まえ、これまでの多自然型川づくりの課題を整理するとともに、多自然型川づくりの今後のあるべき方向性、推進すべき方策について、私の考えを記述する。

2.多自然型川づくりの抱える課題
 現在まで行われてきた多自然型川づくりの課題について整理すると、以下に示す4つが挙げられる。
 1)多自然型川づくりに関する共通認識の欠如
 2)多自然型川づくりを支援する仕組みが不十分
 3)多自然型川づくりを推進する体制が不十分
 4)多自然型川づくりを担う人材を育成するシステムが不十分

3.今後のあるべき方向性
 これまでの多自然型川づくりが抱えている課題に対し、課題解決のため推進すべき方策のあるべき方向性を整理すると、次の3つが挙げられる。
 1)個別箇所の多自然ではなく、河川全体を視野に入れた多自然へと転換
 2)地域の暮らし、文化や歴史と結びついた川づくり
 3)維持管理を踏まえた川づくり

4.推進のための方策
 1)これまでの知見や現場体験等に基づいた「課題の残る川づくりの解消」
 2)中長期的視野に立った「川づくり全体の水準の向上」

(1)課題の残る川づくりの解消
 これまでの知見や技術、現場経験等に基づいて、現在実施されている課題の残る川づくりの解消を図っていく必要がある。そのためには、以下に挙げるような施策を推進すべきと考える。
 1)既往の技術に基づいた実施事例等の整理
 2)多自然型川づくりに関する図書や技術資料集等の刊行
 3)多自然型川づくりに関する講習会や現場見学会等、研修の機会の増加や充実
 4)行政関係者、現場担当者等の間における多自然型川づくりに係るナレッジマネジメントの構築
 5)多自然型川づくりに係るPRの推進

(2)川づくり全体の水準の向上
 中長期的なスタンスに立って、多自然型川づくりに係る研究・開発等を進めるともに、よりよいものへと川づくり全体の水準を高めていく必要がある。そのためには、以下に挙げるような方策を進めていく必要がある。
 1)多自然型川づくりに係る計画、設計技術の研究・開発
 2)多自然型川づくりに係る施工技術の開発
 3)モニタリングの継続的実施と調査結果のフィードバック
 4)多自然型川づくりに係る指針や示方書等の整備
 5)インパクト-レスポンスに関する科学的解明

4.おわりに
 多自然型川づくりにあたっては、本来その川が持っている河川特性に応じたダイナミズムを確保するとともに、川の縦断的、横断的な生物多様性を維持、創造することが重要である。
 私は河川に関わる技術者として、多自然型川づくりに微力ながら尽力したいと考えている。
-以上-

結局試験直後の平成18年10月に、この提言に基づいた「多自然川づくり基本指針」が出されました。
当時は、我ながら自分の試験関連情報事前収集の結果に満足した次第です。
さて、それから5年が経過して平成23年の建設環境受験。
技術士試験受験に向けた他人様の添削には勤しんでいましたが、自らの受験勉強はほとんどしておらずほぼ丸腰の状態でした。(但し「他人様の添削指導」はあとから振り返ると実は非常に有意義な受験勉強でした)
ただし、そんな中でも過去に河川と都市計画で勉強した「多自然川づくり」と「連続した緑地保全・創造」だけは前日図書館で再度骨子をとりまとめる作業を行いました。
結論として、これが再び大当たりになりました。
以下に問題と解答全文を掲載いたします。
平成23年度専門問題(建設環境)
I-9 多自然川づくりについて、以下の問いに答えよ。
(1) 多自然川づくりの現状と課題について述べよ。
(2) (1)で述べた課題を踏まえた上で、多自然川づくりを推進するために必要な方策についてあなたの考えを述べよ。

1.多自然川づくりの現状
 平成2年に旧建設省が「多自然型川づくりの推進について」を通達して20年余が経過した。この間、多自然川づくりは大きく拡大し、現在では河川工事の大部分を多自然川づくりが占める状況となっている。
 しかしながら、一方では、標準定規断面にこだわりすぎて川や水辺の連続性等を全く考慮していなかったり、単に環境配慮部材等を用いただけの、いわゆる「多自然型川づくり」であったり等、課題が残る川づくりが多いのが現状である。
 また、施設整備後に適切な維持管理がなされておらず、河床変動やみお筋の移動等により、施設本来の機能が大きく損なわれてしまっている事例等も多い状況である。

2.多自然川づくりにおける課題
 以上に述べたような現状を踏まえ、多自然川づくりをよりよいものとしていくためには、次に挙げる課題を解決していく必要がある。
(1) 河川全体の営みを視野に入れた川づくり
 川は自然公物であり生き物である。川づくりにあたっては、河川の自然の営みへの配慮が求められる。
このため、川や水辺環境、生態系等の横断的、縦断的、そして面的な連続性に十分留意した上で、その場その場の多自然ではなく、河川全体の営みを視野に入れた川づくりを進めることが必要と考える。
(2)まちや地域と一体の川づくり
 我が国の都市はその大部分が低平地に位置している。このため、古来から漁業や舟運、水利用等によりまちと川は強く結びついている。優れた景観や伝統行事等の地域観光資産にも、川とまちと切っても切れないような物が多い。
以上により、地域の歴史や文化に根ざした、まちや地域と一体の川づくりを目指すことが重要である。
(3)維持・管理まで見据えた川づくり
 多自然川づくりは施設整備だけでは完結しない。整備した空間に自然が持続的に宿ることで多自然川づくりは初めて成り立つ。 このため、単に施設を整備するだけでなく、持続的、永続的な維持管理までを視野に入れた取組が求められている。

3.多自然川づくりを推進するため必要な方策
 以上に挙げた課題を解決するとともに、多自然川づくりをよりよいものとしていくため、当面の施策として「課題の残る川づくりの解消」に取り組んでいく必要がある。
 また、中長期的な視野で「川づくり全体の水準の向上」を図るための取組も重要である。
 以上に挙げた2つのテーマ毎に、私が必要と考える方策を記述する。
(1) 課題の残る川づくりの解消
 1)多自然川づくりに関する研修の開催や図書発行等の推進
 2)河川管理者、施工者、維持管理者等、多自然川づくりに携わる現場担当者間におけるナレッジマネジメントの構築
 3)地域や市民に対する多自然川づくり関する広報・周知の推進
 4)地域や市民、NPO団体や学識経験者等、多様な主体が多自然川づくりに参画するための仕組みの構築
(2)川づくり全体の水準の向上
 1)多自然型川づくりに関する工法、施工技術等の研究・開発
 2)インパクト-レスポンスの科学的解明等、多自然川づくりに関連する生態系、自然現象等の研究・開発
 3)河川工学、生態系、自然環境等の知識を併せ持った、多自然川づくりに従事する担い手となる人材育成
 4)継続的なモニタリングの実施と、この結果を十分に反映させた、PDCAサイクルによるスパイラルアップに向けた取組
―以上―

設問に合わせた章立てにしたり、平成19年度以降の長文問題に対応した「はじめに&おわりに無しバージョン」にしたりはしましたが、書いた内容はほぼ平成18年度の時そのままです。
このように、多自然川づくりには「一粒で二度おいしい」思いをさせていただきました。

建設環境、そして河川、砂防及び海岸・海洋の河川環境ネタとして、「多自然川づくり」は出題頻度が高い分野と考えています。特に、平成22年8月に中小河川技術基準が改定され、昨年ポイントブックIIIという指南書が発行された「水際の多自然」は「建設環境」「河川、砂防及び海岸・海洋」のいずれでも出題確度が高いと考えています。受験者の皆様、準備を怠らないようにして下さい。
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