技術士二次試験の解答は「発表論文」ではありません「解答」なんです

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技術士二次試験の解答は「発表論文」ではありません。「解答」なんです。

何がいいたいかというと、技術士試験には当然「設問」があるわけで、解答論文はこれに基づいて展開された構成になっていなければ高評価は期待できないということです。
特に、平成19年度の改正以降は、設問が明らかに「より長ったらしく具体的」になりました。このため、学習した「現状と問題点」「課題」「課題解決のための方策」について、設問に合わせうまく論述を組み立てることが非常に重要と考えます。
「バリアフリー」をネタに出題された都市及び地方計画の過去問を取り上げて、その違いを考察してみたいと思います。
まず、「バリアフリー」に関する基本骨子の概要は以下のようになるかと思います。解答論文の作成に当たり、この内容は十分学習して自分の知識としておくことが必須条件となります。
■バリアフリー空間整備の骨子■
●現状と問題点

 ○「公共性のある建物」「バスの車両」「駅」「空港」などでそれなりに進められている
 ○でも、利用客多い駅のバリアフリー化が半数程度に留まっているなど、決して十分ではない。
 ○施設ごとのバリアフリー化が先行し、移動や結節を考慮した連続性のあるものになっていない
 ○利用者にとって必ずしも使いやすいものとなっていない
 ○ソフト的施策や心のバリアフリーが不十分
 ○今後は少子高齢化が進むし、国際化や社会情勢の変化で、高齢者の他、外国人やこども、障害者等多様な人々が自らの意志決定で行動できるユニバーサルデザインの考え方がますます重要になる

●課題
 ○連続性のあるバリアフリーの実現
 ○利用しやすいバリアフリー空間の実現

●課題解決のための方策
 ○縦割りを排除したバリアフリー空間整備の推進
 ○公共交通のバリアフリー化推進
 ○利用者目線による空間整備、モニタリング、改善
 ○ハードと連携したソフト的施策の推進
それでは、過去問から次の2つの設問を挙げて考えてみたいと思います。
平成16年度
I-2-1
 まちづくりにおいてバリアフリー環境を実現するための基本的視点についてユニバーサルデザインの考え方にも留意しながら述べよ。

平成20年度
I-2
 都市におけるバリアフリー空間の整備が必要とされる社会的背景について述べ、さらに「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)が新たに制定されるに至った理由と、それを踏まえて都市における移動等の円滑化を進めるための方策について述べよ。

どうでしょうか、見るからに平成20年度の方が「より長ったらしく具体的」な設問であることが理解できると思います。
それでは、骨子として学習した知識をベースに、それぞれの問題に対し解答を構成してみましょう。
まず平成16年度の方の設問は、以下に関する解答を求めています。

●まちづくりにおいてバリアフリー環境を実現するための基本的視点を書いてください
●上記の記述に当たってはユニバーサルデザインの考え方にも言及すること


設問では「バリアフリー空間整備推進のための基本的視点」を「ユニバーサルデザインの考え方」を踏まえて記述しろとしているだけで、具体的な章立ての指定などは特にありません。但し「ユニバーサルデザインの考え方」に言及しない限り、大きな減点を覚悟せねばなりません。
では解答の骨子を考えてみましょう。
●はじめに
 ○少子高齢化、成熟型社会の到来でバリアフリー空間整備が求められている
 ○国際化や社会情勢の変化で、高齢者の他、外国人やこども、障害者等多様な人々が自らの意志決定で行動できるユニバーサルデザインの考え方が重要になる
 ○以上を踏まえ「まちづくりにおけるバリアフリー環境実現」について、基本的視点にたって課題と課題解決の方策を述べる

●現状と問題点
 ○「公共性のある建物」「バスの車両」「駅」「空港」などでそれなりに進められている
 ○でも、利用客多い駅のバリアフリー化が半数程度に留まっているなど、決して十分ではない。
 ○施設ごとのバリアフリー化が先行し、移動や結節を考慮した連続性のあるものになっていない
 ○利用者にとって必ずしも使いやすいものとなっていない
 ○ソフト的施策や心のバリアフリーが不十分

●課題
 ○連続性のあるバリアフリーの実現
 ○利用しやすいバリアフリー空間の実現

●課題解決のための方策
 ○縦割りを排除したバリアフリー空間整備の推進
 ○公共交通のバリアフリー化推進
 ○利用者目線による空間整備、モニタリング、改善
 ○ハードと連携したソフト的施策の推進

●おわりに
 ○用紙が余ったら決意表明みたいなことを書くとよい
以上の構成となりました。
そう、言及を求められている「ユニバーサルデザインの考え方の必要性」を「はじめに」に持ってきただけで、あとは「現状と問題点」「課題」「課題解決のための方策」という骨子として学習したことをそのまま羅列しただけです。

この問題では設問で「ユニバーサルデザインの考え方に留意」以外に特に具体的な解答事項の指定はありません。
このように、平成18年度までの技術士二次試験では、学習した内容をそのまま試験会場で吐き出すだけで(後はその内容如何によるのですが・・・・)A評定をもらえるケースも多かったのです。このため、何本も模範解答論文を作成して暗記、これを試験場で吐き出すような方法が「受験対策」として横行していました。
さて、それでは平成20年度の現行制度の設問について検討してみましょう。
※実はこの問題は、私が平成20年度に実際に解答しA評定をもらうことができました。
設問をよく読むと次の事項への解答を明確に求めていることがわかります。

●都市におけるバリアフリー空間の整備が必要とされる社会的背景
●バリアフリー新法が新たに制定されるに至った理由
●都市における移動等の円滑化を進めるための方策


ここであらためて強調したいのは、技術士二次試験の解答は発表論文」ではなく「解答」だということです。
この設問に対し、バリアフリー空間整備について単に学習した「現状と問題点」「課題」「課題解決のための方策」を羅列しただけではA評定は絶望的であるということです。
だからといって、骨子として学習した知識以外に新たな知識リソースが必要というわけではありません。
設問に合わせ章立てを考え、これに自分の持っている知識をうまく配置して論述を完成させる作業が必要なのです。
まずは章立てです。
実際に解答した自分の復元解答に基づくと以下のようになります。

●はじめに
●バリアフリー空間の整備が必要とされる社会的背景
●バリアフリー新法が制定に至った理由
●都市における移動等の円滑化推進のための方策

以上の章立てに基づき、自分が知識として保有しているリソースを配列します。
実際の試験会場では、問題用紙の空欄に章立てを書き、その下に箇条書きで知識を配列する作業、いわゆる骨子復元作業を行います。
●はじめに
 ○社会情勢変化によりバリアフリー空間整備の要求が高まっている
 ○バリアフリー空間整備が必要とされる社会的背景、及びバリアフリー新法制定に至った理由を整理するとともに、都市における移動等の円滑化を図り、バリアフリーなまちづくりを具現化していくための方策について私の考えを述べる

●バリアフリー空間の整備が必要とされる社会的背景
 ○少子高齢化、成熟型社会の到来でバリアフリー空間整備が求められている
 ○国際化や社会情勢の変化で、高齢者の他、外国人やこども、障害者等多様な人々が自らの意志決定で行動できるユニバーサルデザインの考え方の重要性が高まっている

●バリアフリー新法が制定に至った理由
 ○「公共性のある建物」「バスの車両」「駅」「空港」などでそれなりに進められている
 ○でも、利用客多い駅のバリアフリー化が半数程度に留まっているなど、決して十分ではない。
 ○施設ごとのバリアフリー化が先行し、移動や結節を考慮した連続性のあるものになっていない
 ○利用者にとって必ずしも使いやすいものとなっていない
 ○ソフト的施策や心のバリアフリーが不十分
 ○以上のような理由で「バリアフリー新法」は制定されました

●都市における移動等の円滑化推進のための方策
 ○縦割りを排除したバリアフリー空間整備の推進
 ○公共交通のバリアフリー化推進
 ○利用者目線による空間整備、モニタリング、改善
 ○ハードと連携したソフト的施策の推進
ということで、解答骨子が仕上がりました。
早い話が、持っている知識をそのまま章立てにあわせて再配置しただけです。
でも、これだと設問に対し明確に解答する「解答論文」になっているといえます。
平成18年度以前は、「模範論文の作成と暗記」という手法が技術士二次試験対策として有効でした。私自身もそうした学習法を実践、合格した経験があります。
でも、平成19年度以降は、時間的余裕は飛躍的に向上したものの、かつてのような「模範論文の作成と暗記」という学習法では対応困難な「長ったらしい具体的な設問」の比率が急激に高まっています。
こうした「長ったらしい具体的な設問」には、制度改定以前に比較して断然ラクになった時間的余裕を利用して、設問に沿った章立ての工夫と再配置をじっくり行うことにより、A評定をもらうことができるレベルに近づくというわけです。
最後に平成20年度、実際にこの問題に論述した解答論文を載せておきますので参考にしてください。
1.はじめに
 わが国の社会を取り巻く情勢の変化、多様な人々が自由に活動できるまちづくりや地域づくりへの関心の高まり等により、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー空間整備の重要性が高まっている。 
 バリアフリー空間整備が必要とされる社会的背景、及びバリアフリー新法制定に至った理由を整理するとともに、都市における移動等の円滑化を図り、バリアフリーなまちづくりを具現化していくための方策について私の考えを述べる。

2.バリアフリー空間整備が必要とされる社会的背景
 わが国の社会構造は、戦後復興期からバブル期まで続いた成長型社会から、低成長・成熟型社会へと大きく転換している。今後は少子・高齢化が加速度的に進行するのは明らかである。
 一方で、社会の価値観の変化等により、多様な人々が自らの意志決定の下活動できる社会が求められている。お年寄りや身体障害者の他、子供連れや知的障害者、外国人等、あらゆる人々が活き活きと生活するためには、「いつでも、どこでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインを踏まえたまちづくりが必要と考える。

3.バリアフリー新法が制定に至った理由
 これまでのまちづくりにおいても、ハートビル法等の法律や制度等に基づき、公共施設等におけるバリアフリー空間整備が推進されてきた。しかしながら、これまでのバリアフリー空間整備は以下に挙げるような点で十分とはいえないものであった。

1)交通機関や公共施設等、それぞれが独自にバリアフリー化を推進しており、バリアフリーの連続性が十分確保されていない

2)定型化、規格化した基準等に基づき整備が先行しており、その結果、必ずしも利用者の視点でみた場合本当に使いやすいものとはなっていない

3)ハード整備のみが先行しており、ソフト的施策やハードとソフトの連携が不十分、心のバリアフリーも十分でない

本法は、こうした問題点を解決するとともに、適切なバリアフリー空間整備を推進するため制定された。

4.都市における移動等の円滑化推進のための方策
 都市において移動等の円滑化を図るとともに、ユニバーサルデザインを踏まえたまちづくりを推進するため必要な方策について、私の考えを述べる。

1)連続したバリアフリー空間の確保
 施設単体ではなく、施設と施設を結ぶ利用者の動線等にも十分配慮した、連続したバリアフリー空間整備を目指す必要がある。

2)公共交通のバリアフリーの推進
 多様な人々が、自由に移動できる社会の構築という面において、公共交通機関の果たす役割は大きい。しかしながら、例えばバリアフリー化が必要とされる日当たり利用者数が5千人以上の駅のバリアフリー化率は40%に留まっている等、整備水準は決して十分とはいえない状況である。
 今後も交通機関や結節点のバリアフリー化を精力的に推進することで、誰でもシームレスに移動可能なまちづくりを具現化していく必要がある。

3)利用者視点による空間整備
 坂路勾配やサインの高さ等、きめこまかな面において利用者の視点に立った検討が必要である。そのためには施設計画段階から利用者が参画できる仕組みづくりも重要である。

4)ハードとソフトの連携
 ハードのみならず、例えば「バリアフリー移動経路マップ整備」等、ソフト面における整備を推進するとともに、これをハードと連携させた総合的な取り組みが求められる。

5)モニタリングとスパイラルアップ
 空間整備後も利用状況や利用者の意見等、モニタリングを継続するとともに、結果に基づきPDCAサイクルによるスパイラルアップを図ることが必要である。 
-以 上-

タグ : 技術士 解答方法

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