維持管理ネタの建設一般解答に関する考察

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■はじめに
 建設分野において、フローからストックへの転換がいわれるようになり久しいですが、依然重要なテーマだと思います。このため、社会基盤の維持管理に関する課題についての設問が建設一般で出される可能性は今後も非常に高いものと考えられます。
 また、特に「上下水道一般」では本年の出題確率が高いと考えています。理由はここに書きましたが、「維持管理」か「地球温暖化」でほぼ決定と(独断と偏見ですが・・・)決めつけています。
 本題については、旧制度最後の年(平成18年度)と一昨年(平成20年度)に出題されましたが、私はこの両方に解答、A評価を頂くことができました。今日はこの2つの解答方法を題材にして考えてみたいと思います。
■学習により知識化すべき事項
 以下の事項は「維持管理のネタ」に対処するための基本的知識です。したがって、これは自分の知識としなければ解答論文構成の検討以前の問題です。
 巷では「骨子法で」とかいう話が出ていますが、別にどういう方法でも知識にできるのであればよいと思います。例えば旧来の「模範論文の作成と暗記」で、この内容を把握、その結果自分の知識とできるのであればそれでも全然OKです。
 さくっと簡潔に示すと以下の通りになるかと思います。(実際にはこれにさらに枝葉を付けた内容を知識とする必要があります)
●現状と問題点
 ○高度成長期に整備されたインフラがまもなく更新時期を迎える
 ○下水管の陥没、鋼橋の破断等事故が頻発している
 ○国や自治体は金がなくヒイヒイいっている
 ○少子高齢化、低成長成熟社会なので社会福祉コストが増大する一方税収増大や建設投資増額は期待できない
●課題
 ○トータルコストを踏まえた、効率的な維持管理手法の確立
 ○低成長、成熟型の社会構造における維持管理に必要な財源の確保
 ○維持管理分野における総合的な技術開発
●課題解決のための方策
 ○アセットマネジメント(予防保全)の考え方に基づいた維持管理の推進
 ○低コスト、高効率な維持管理手法や体制の確立
 ○維持管理のための財政・人的資源支援等の仕組み確立
 ○維持管理に係る技術開発

■平成18年度の設問への解答
 設問は次の通りです。
II-2-1 維持管理、更新投資が増大すると見込まれる中で、その現状と課題を述べ、今後の社会資本整備のあり方について、あなたの意見を述べよ。
 この設問では赤字で示したとおり、以下の事項に関する解答を明確に求めています。抽象的な表現が多かった制度改正以前の問題では、比較的細かい解答項目に言及しているといえます。
 ●維持管理、更新投資が増大すると見込まれる中で、その現状と課題
 ●今後の社会資本整備のあり方


 この問題の解答で注意しなければいけないことは、求めている解答は維持管理に限局しない「社会資本整備のあり方」ということです。維持管理ネタが主体とはなりますが、それだけではなく今後の新規の社会資本整備にも言及しなければA評定は得られないということです。
 では章立てを考えてみましょう。
●はじめに
●社会資本整備の現状と課題
 ○現状
 ○課題
●今後の社会資本整備のあり方
まあ、設問に基づき素直に作るとこんな感じでしょうか。
続いて書く内容の検討を行いましょう。
●はじめに
 △建設投資はピーク時比較で4割も減少
 △高度成長期に整備したインフラは更新需要を迎える
 △以上を踏まえ解答します
●社会資本整備の現状と課題
 ○現状
  △維持管理・更新の現状
   ▲フローからストックへの転換必要
   ▲公共投資縮減で金がない、今後も期待できない
  △社会情勢
   ▲少子高齢化の進行
   ▲低成長成熟社会なので社会福祉コストが増大するため景気がよくなっても建設投資増額は期待できない
  △社会資本整備の状況
   ▲以前よりはマシになったけど十分ではない

 ○課題
  △低成長社会に応じたコスト縮減
  △効率的な維持管理や更新の展開
  △必要な新規社会資本整備の推進
●今後の社会資本整備のあり方
 課題ごとに整理して書きます
 ○低成長社会に応じたコスト縮減
  △PFI、基準の柔軟運用、既存ストック活用

 ○効率的な維持管理や更新の展開
  △アセットマネジメント 、指定管理者、維持管理分野の技術開発
 ○必要な新規社会資本整備の推進
  △選択と集中、ソフト施策との複合展開

以上のような感じになりました。
青字で示したのは、「維持管理」とは直接関連しない分野のネタです。
実際の解答は以下の通りです。箇条書きを連発したのでどうかと思いましたが、セーフでした。
1.はじめに
 我が国における公共投資額は、平成4~5年のピークと比較して約40%減少(平成17年度)している。
 一方、戦後の復興期から高度成長期にかけ整備された社会資本の中には、老朽化等により更新や改築が必要な時期を迎えつつある物が増加している。こうしたことから、我が国の社会資本整備はフローからストックへの転換を図るべきとされており、維持管理、更新等に係る費用は、今後益々増大していくとされている。
 以上のような点を踏まえた上で、社会資本整備の現状と課題、今後のあり方について私の考えを記述する。

2.社会資本整備の現状と課題
2-1.現状

(1) 維持管理、更新の現状
 前述したように、「フローからストックの転換」がいわれる中で、特に更新の時期を迎えつつある社会資本が確実に増加している。
 一方で、公共投資については引き続き削減していくことが、国の基本方針として明示されている。
 国土交通省の試算によれば、現在と同様に、国が毎年3%、地方が毎年5%の公共投資削減を続けていった場合、2022年(平成34年)には、新規事業はおろか、更新等必要な社会資本の維持管理が不可能になってしまうことが予測されている。

(2) 社会情勢
 少子高齢化社会の急速な進行により、我が国は平成18年からかつて経験したことのない人口減少社会へと突入した。平成18年8月には、住民基本台帳上でもこれが明らかになった。
 一方、平成18年8月現在、大企業を中心とした賞与額の増加、土地価格の下げ止まり、ゼロ金利政策の解除等、景気は明らかに回復傾向にある。但し、景気回復により財政状況が好転したとしても、それ以上に少子高齢化進行等による社会福祉コストの大幅上昇が予測される。したがって、バブル期等のように、税収アップ等で財政状況が改善されることで公共投資額が増額することはほとんど期待できない。

(3) 社会資本整備の状況
 かつて、我が国における社会資本が欧米諸国と比較して大きく遅れている事例としてよく引用された下水道を見てみると、平成16年度末の汚水処理人口普及率は68.1%であり、農業集落排水等を含めると約8割にまで達している。
 しかしながら、同じ下水道でも雨水については整備が大きく遅れており、現在でも各地で内水被害等が頻発している状況である。このように、我が国の社会資本整備は、決して完了の段階には至っていない。

2-2.課題
 我が国における社会資本整備の課題について、以下の3つにとりまとめる。
 ●低成長社会に応じたコスト縮減
 ●効率的な維持管理や更新の展開
 ●必要な新規社会資本整備の推進

2-3.社会資本整備のあり方
 以上の課題解決のため、実施すべき方策のあり方について私の考えを述べる。
(1) 低成長社会に対応したコスト縮減
 ●PFI等、民間活力の導入
 ●既存ストックの有効活用(例:湘南新宿ライン)
 ●地域に応じた基準等見直し(例:1.5車線道路)
(2) 効率的な維持管理や更新
 ●アセットマネジメント(予防保全型)による効率的、計画的な維持管理の推進
 ●指定管理者制度等による民間、地域等の維持管理
 ●土木構造物等の更新や改築に係る技術開発
(3) 必要な新規社会資本整備の推進
 ●実施する事業の選択と集中
 ●水害についての減災対策等、早期の事業効果発現が期待できるソフト的施策等の展開
-以上-

■平成20年度の設問への解答
 問題は以下の通りです。
II-1 社会資本の維持管理に関する現状と課題を述べ、これに対する対策としてのアセットマネジメントの必要性及びその実用化に向けた方策についてあなたの意見を述べよ。
 この問題が求めている解答は、赤書きで示したとおり、次の事項です。
 ●社会資本の維持管理に関する現状と課題
 ●対策としてのアセットマネジメントの必要性
 ●アセットマネジメント実用化に向けた方策
 平成18年度の問題と比較して、解答の範囲がかなり「限局」された設問といえます。
 では、章立てを考えてみましょう。
●はじめに
●社会資本の維持管理の現状
●社会資本の維持管理における課題
●アセットマネジメントの必要性
●実用化に向けた方策
 「アセットマネジメント」に限局した解答を要求していますので、論述次第ではかなりディープな部分まで記述する必要がありそうです。
 しかしながら、私にはアセットマネジメントを深くつきつめるまで知識がありませんでした。
 そこで、以下の作戦に基づき解答を論述することにしました。
 ●維持管理の現状と課題でなるべく引っ張る
 ●アセットの必要性を(文章で説明するのは難しいので)図でわかりやすく示す
 以上により展開した解答骨子は次の通りです。
●はじめに
 ○低成長、成熟型社会を迎え、「アセットマネジメント」の考え方による維持管理手法が注目されています

●社会資本の維持管理の現状
 ○高度成長期に整備されたインフラがまもなく更新時期を迎える
 ○下水管の陥没、鋼橋の破断等事故が頻発している
 ○国や自治体は金がなくヒイヒイいっている
 ○少子高齢化、低成長成熟社会なので社会福祉コストが増大する一方税収増大や建設投資増額は期待できない

●社会資本の維持管理における課題
 ○トータルコストを踏まえた、効率的な維持管理手法の確立
 ○低成長、成熟型の社会構造における維持管理に必要な財源の確保
 ○維持管理分野における総合的な技術開発

●アセットマネジメントの必要性
 ○維持管理コストの縮減(説明しにくいのでに頼る)
 ○事故防止

●実用化に向けた方策
 ○社会資本の資産評価や償却プロセス確立
 ○施設毎の条件に基づいた劣化のモニタリングやメカニズム解明
 ○効率的、経済的な改築・更新工法等の技術開発
 ○維持管理に係る財政を支援する制度や仕組みの構築
 ○効率的な維持管理体制の導入
という骨子に基づき、解答を論述しました。
 私は維持管理関連の業務経験はほとんどないのですが、「維持管理の現状と課題でなるべく引っ張る」「アセットの必要性を(文章で説明するのは難しいので)図でわかりやすく示す」という作戦はどうやら成功したようで、A評価を得ることができました。以下が解答の全文です。
1.はじめに
 21世紀に突入した現在、わが国の社会構造は成長型から成熟型への転換期を迎えている。こうした中で、社会資本の維持管理へのアセットマネジメント(資産管理による維持管理手法)の適用が注目されている。

2.社会資本の維持管理の現状
 わが国は、戦後の復興期から高度成長期にかけ、著しい高度経済成長をとげるとともに、社会資本整備に注力した。この時期に整備された冒大な量の社会資本は、まもなく一斉に更新時期を迎える。
 一方、21世紀を迎えた現在、我が国の社会情勢はこれまでの成長型から、低成長型、成熟型へと大きな転換期を迎えている。現状でも既に人口減少社会に突入しており、今後、少子高齢化が急速に進行するのが確実な情勢である。こうした社会情勢の変化により、税収の不足や社会福祉コストが増大することで、公共事業に係る財政状況は悪化することが確実であり、公共事業のさらなるコスト縮減が求められている。
 国土交通省の試算によれば、今後現状と同様に国が年3%、地方が年5%のコスト縮減を継続した場合、図-1(2006国土交通白書のこの図の略図)に示すように2025年には、たとえ新たな社会資本整備をゼロにしたとしても既存の社会資本の維持管理に係る費用が工面できなくなるとしている。
 現実に財政上の問題は、財政基盤が脆弱な地方自治体等で既に発生している。点検や修理が必要な時期を迎えているにもかかわらず。費用がないという理由で放置されている社会資本が多数見受けられる。
 さらに、一級河川の国道橋における鋼構造の破断、下水道管渠への土砂侵入による道路かん没等、適正な維持管理がされていない社会資本による事故等も頻発している。

3.社会資本の維持管理における課題
 「フローからストックの転換」がいわれる中、社会資本の維持管理の重要性は今後ますます高まっていくと考える。社会資本が適正な維持管理が行われるための課題として、私の考えを以下の通り整理する。
 1)トータルコストを踏まえた、効率的な維持管理手法の確立
 2)低成長、成熟型の社会構造における維持管理に必要な財源の確保
 3)土木工学のほか、材料工学分野等とも連携した維持管理分野における総合的な技術開発

4.アセットマネジメントの必要性
 アセットマネジメントとは、社会資本を資産としてとらえるとともに、計画的に予防保全措置を講じていく維持管理手法である。
 図-2(国土交通白書のこの図の略図)に示すとおり、これまでの主流であった何か不具合が発生した場合に措置を講じていく事後保全型維持管理と比較してトータルコストの縮減を図ることができる。
 また、施設健全度の継続的な把握や早めの対策措置から、施設の劣化等による事故等の発生リスク縮減が可能となる。

5.実用化に向けた方策
 社会資本の維持管理にアセットマネジメントを適用、その拡大を図るとともに、社会資本が適正に維持管理されていくため必要な方策について、私の考えを以下に列記する。
 1)社会資本の資産評価や償却プロセスの確立
 2)高濃度の硫化水素にさらされる下水道施設、海水に浸る港湾施設等、施設毎の条件に基づいた劣化のモニタリングやメカニズム解明
 3)効率的、経済的な改築・更新工法等の技術開発
 4)社会資本の維持管理に係る財政を支援する制度や仕組みの構築
 5)PFIの導入や民間委託等、効率的な維持管理体制の導入
―以上―

 H18とH20の建設一般の問題、自分自身はこれまで「似た問題で両方Aがもらえたラッキーなこと」としか捉えていませんでした。
 でも、こうしてよーくみてみると、各問題が解答に求めている内容は結構違うものなんですね・・・。
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